矯正歯科治療とは
乱れた歯並びや噛み合わせを美しく整え、上下の歯がきちんと噛み合うようにするのが矯正歯科治療です。矯正装置を用いて、歯の位置やあごの骨を時間をかけて少しずつ変化させていくことで、美しい歯並び、バランスのとれた安定性のある噛み合わせ、良好な口腔機能、お口と心身の健康、整った口元や顔立ち、その全てを達成することを理想としています。機能を伴った美しさを生涯にわたって維持することで、心身の健康へ導くことを目指して治療を行います。
歯を矯正する7つのメリット
理想的な矯正歯科治療が行われると、見た目の印象がより良くなるだけでなく、体や心に良い影響がたくさんあります。その中でも代表的な7つをご紹介しましょう。
メリット1:コンプレックスから開放される
メリット2:虫歯や歯周病、口臭が予防できる
メリット3:歯の寿命がのびる
噛み合わせが悪いと特定の歯に過度な力が集中し、歯が抜け落ちる場合があります。1本でも抜けると、他の歯にまた過度な力を加わる悪循環が生まれ、“噛み合わせの崩壊”がおきる場合も。矯正歯科治療で噛み合わせを改善させることは、歯にかかる力を分散させ、歯の寿命を延ばすことにつながります。
メリット4:生涯にわたって質の高い生活がおくれる
メリット5:色んな食べ物が噛みやすくなる
メリット6:滑舌が改善される
メリット7:運動パフォーマンスの向上
リスクについて
- 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2週間で慣れてきます。
- 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
- 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
- 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
- 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
- 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せ の「後戻り」が生じる可能性があります。
- あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
- 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
矯正歯科治療の対象となる症状
矯正歯科治療の対象となる症状は、上下の歯が噛み合っていない「不正咬合(ふせいこうごう)」と呼ばれる状態です。ここでは不正咬合の具体的な歯並び・噛み合わせの一部を解説します。
上顎前突(じょうがくぜんとつ)
下顎前突(かがくぜんとつ)
叢生(そうせい)
開口(かいこう)
良質な矯正歯科治療を行うためのステップ
当院ではいくつかのステップを踏むことで、治療を確実に進めていきます。時間はかかりますが、理想的な治療結果を生むために必要なステップだと考えています。
ステップ1:初診相談 約30分
歯並びの確認だけでなく、歯並びに起因する顔立ちや、コンプレックスに感じている点、治療に対する不安や疑問などをお聞きします。治療方法や装置について、費用の概算なども説明いたします。些細なことでも遠慮なくご質問ください。
ステップ2:精密検査 約60分
ステップ3:診断 約30分
ステップ4:装置作成準備 約30~60分
装置作成の準備のため、お口の型取りをします。とった型を元に、歯科技工所などで、 患者様ごとにオーダーメイドの装置を作成します。
ステップ5:装置装着 ※約30~120分
ステップ6:ブラッシング指導
ステップ7:装置調整・お口のクリーニング 約30~60分
ステップ8:装置を外して保定へ
矯正歯科治療で歯を動かした後、歯が元の位置に戻らないように、目立たない取り外し式の装置や、歯の裏側に装着する小さな装置で保定します。
矯正歯科治療の開始時期による違い
矯正歯科治療は開始時期によって、第Ⅰ期治療(子どもの時期)と第Ⅱ期治療(永久歯交換後の本格的治療)に分けられます。
子どもの矯正歯科治療
子どものうちに矯正歯科治療をすすめる理由
子どものうちから始めることにより、あごの発育を利用した治療が可能です。不正咬合の場合、単に歯並びや噛み合わせが悪いだけではなく、上下のあごの骨の大きさやバランスに問題がある場合がほとんどです。子どもの時期なら、あごの成長をある程度コントロールして治療することもできます。 つまり、歯並びと骨格の両面から治していくことが可能になります。そのため、健康な歯を抜歯せずに不正咬合を治せる可能性も出てくる上、自然にお顔のバランスを整えることにもつながります。また、コンプレックスからの開放、指しゃぶりなどのくせや、発音・発語、噛む機能の改善という点でも、子どものうちから矯正歯科治療を行うのは大きなメリットがあります。
子どもの矯正特有の注意点
子どもの矯正である第Ⅰ期治療は、乳歯から永久歯に生え代わる「混合歯列期」に行う矯正歯科治療です。大人の矯正歯科治療とは違う様々な注意点があるためいくつか紹介します。
あごの成長と不正咬合
成長期になると、不正咬合が原因で顎が正常に成長しない場合や、逆に成長しすぎる場合があります。 早めに不正咬合を改善することで、正常なあごの成長を誘導できることができます。
口呼吸と不正咬合
アレルギー性鼻炎などによる鼻づまりが、口呼吸の原因になります。慢性的な口呼吸が続くと、口がぽかんとあいた状態が続き、上の歯列の幅が小さくなり前歯が出てきて「上顎前突(出っ歯)」になったり、前歯が噛み合わない状態「開口」になったりする場合があります。症状がひどい場合には、耳鼻咽喉科と連携しながらの治療となります。
口腔内のくせ
子どものくせには、指しゃぶり、下唇を噛むくせ「咬唇癖」、舌で歯を押すくせ「舌突出癖」、爪噛み、鉛筆かじりなどがあり、それらが不正咬合の原因になる場合があります。このような場合は、矯正歯科専門の衛生士が舌や顔面の筋肉トレーニングを行い、くせを取り除きながら治療を進めます。
矯正歯科治療をはじめるタイミング
子どもの矯正歯科治療の開始時期は一般的には早くても、上下の前歯が生えかわり、治療に対する協力が可能となる7?8歳です。最も遅い開始時期は個人差もありますが11?14歳くらいで、これ以降になると成長発育を利用した治療が難しくなります。子供の不正咬合の中でも、 下顎前突(受け口)、上顎前突(出っ歯)、開口、交叉咬合(奥歯が上下逆になっている噛み合わせ)といった不正咬合は、早めに治療したほうがよい場合がほとんどです。
永久歯に生え変わっても矯正は必要?
子どもの矯正歯科治療だけで治療が済んでしまう場合もありますが、引き続き本格矯正(大人の矯正歯科治療)が必要な場合もあります。逆に、子どもの治療は行わずに永久歯への交換を待ってから本格矯正だけで治療したほうがいい場合もあります。専門的で高度な判断が必要となる場合が多いので、自分で判断せず早めに相談されることをおすすめします。
大人の矯正歯科治療
大人のニーズに応える矯正歯科治療があります
矯正歯科治療は子どものためだけのものだと思っていませんか? 大人になってから受診される患者さまも多く、もちろん治療も可能です。その場合、子どもの矯正のようにあごの成長を利用した治療はできませんが、あごの骨のアンバランスに対しては歯の移動によって補えたり、あごの骨のずれが大きな場合は手術(保険適応)が必要な場合があります。永久歯に生え変わっていれば、早ければ中学生くらいから大人の矯正歯科治療の対象となり、50代、60代の方も治療を受けられています。また、最近では非常に目立たないマウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置なども世界的に波及しています。したがって、矯正装置が気になるので治療に躊躇している方や、大人になってからでは遅いのでは?と思っている方も、安心して治療を受けていただけます。 重度の歯周病や歯の数が少ない場合は、治療が難しくなる場合がありますので、ご相談ください。年齢とともに歯の移動スピードが遅くなる傾向があるので、早めの治療開始をおすすめします。
治療費一覧
矯正治療費(税込み)価格表
相談 | 3,300円 |
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検査 | 27,500円 |
診断 | 27,500円 |
1期治療(子供) | 660,000円 |
2期治療(大人) | 902,000円~ |
調節料 | 5,500円 |
保定観察料 | 5,500円 |
矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費(自由)診療です。
【矯正歯科治療の一般的な治療期間】2~3年間
【通院回数】24~36回
【治療途中での転医の場合】日本矯正歯科学会の倫理規定に従って返金を行います。